試験開始前にできる意識と頭のウォーミングアップ 【最終回】

 

 受験生時代、本試験当日に特に意識したのは、緊張感と立ち上がりへの対策です。

 つまり、余計なプレッシャーをできる限り減らして冷静に問題を解くことと、よりスムーズに集中状態に入っていくためにはどうすればいいかということを考えていました。

 

 

 

 

 答練や模試等で、答え合わせのときは難なく解くことができたが、解答時は文中で言われていること自体がわからなかったため、肢を絞り切れずに間違えたり、後回しにして余計な時間を費やしたりしてしまう等の、単純な知識不足以外の問題もありました。

 

 午前と午後で共通していえることですが、特に解き始めの際の集中状態に入り切れていないことや、時間を意識することによる焦り等を原因とした「文章が読みづらくなってしまう」というリスクは、本番ではより高まるのではないかと考えていました。

 

 

 

 こうした問題に対する、あくまで意識レベルのウォーミングアップとして上手くいったかなと思えた本試験当日の対策は、以下の2点です。

 

 

 

 

 

 

 

1.「さっきの学習の続きからだな」と考えて問題を解き始める

 私は、本試験当日も、試験問題を解くこと=「当日のノルマの一環」に近いかたちで位置付けていました。(これは決して、本試験を軽視していた訳ではありません。)

 

 例えば、午前科目の開始前、より具体的に言えば着席する時間がくるまでは、持参した資料(使用テキストやノート等)をもとに、最後の見直しを行うかと思います。私はこの見直し作業を当日の「学習ノルマ①」と捉えていました。そして、開始の合図が出て、実際に試験問題を解く作業を「学習ノルマ②」と位置づけていました。

 

 このように置き換えることにより、いきなり試験問題を解くというのではなく、既に1つノルマを終えていたなと考えることができたので、少し気持ちに余裕を感じることができました。また、私は本試験=あくまで「これまでの問題演習の延長」と捉えていたので、どちらかというと「学習」という括りで考えることにより、これまで決めていた解答時のルール(解く科目や出題形式の順番・時間配分等)を徹底しやすかったかなと思います。

 

 ただ一方で、これはあくまで気持ちを落ち着かせることを目的とした考え方なので、試験は試験モードに切り替えた方がやりやすいというのであれば、そうすべきです。

 

 

 

 

 

 

 

2.問題用紙表紙の注意事項を要約して読む

 着席し、答案用紙への記名等を終えてから試験開始の合図が出るまでは少し時間があるかと思います。私の場合はこの時間を利用して、表紙の注意事項を意識的に自分の言葉に置き換えて読むことにしていました。

 

 例えば、平成30年度本試験について、午前科目問題用紙表紙の注意事項として以下の文があります。


 
 

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 この場合、文章に一通り目を通した後、私は心の中で次のように要約していました。

 

 

 「要するに、解答の書き方と訂正の仕方を言ってるのね。1問に1個だけ塗って、なおすときは消しゴムでちゃんと消せってことね。」

 

 

 ポイントは、各注意事項に書かれている文を「要するに…」から始めることです。

 

 

 

 コンマ何秒の世界ですが、実際の問題検討の思考過程としても、学習した法律知識や考え方を当てはめる前に、①文を読み、②その文の内容を確認する(つまり、そこで何が聞きたいのか、言いたいのかを把握する)流れがあります。

 

 

 気休め程度ですが、この要約作業により、上記①→②の頭の働かせ方のいいウォーミングアップになったかなと思います。また、「おっ、読めるな」と確認し、少しリラックスできたことを記憶しています。

 

 

 

 

 

 

 考え方や気持ちの置き方一つで自分にとって優位な状況が生まれ、本試験ではそれだけでも他の受験生に比べ大きなアドバンテージになります。

 

 今のうちに緊張等による立ち上がりへの不安を見越して、試験開始前に既に、「あったまった状態で始められる」仕掛けを用意しておくことはオススメです。